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トピックス・インタビュー08

08 「ちっちゃなエイヨルフ」タニノクロウさん×勝村政信さん 対談 INTERVIEW
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INTERVIEW 昨年『野鴨』で、他の劇作家の戯曲を初演出した庭劇団ペニノ主宰の劇作家・演出家・タニノクロウさんが、2年連続でイプセンに挑戦。主演・勝村政信さんと語る、「人間の愚かさを書き尽くす作品」への想いをお聞きしました。
2008|12|01 公演詳細 Question

タニノさんはこの『ちっちゃなエイヨルフ』が『野鴨』に続く二作目のイプセンですが、勝村さんはイプセン作品と接点はあったのでしょうか?

勝村:いえ、初めてです。最近だとデヴィッド・ルヴォー演出の『人形の家』を観ました。芝居を始めたばかりのころ、『人形の家』を読んだ記憶はあったんですが、まったく内容は忘れていましたね(笑)。イプセン=『人形の家』と言うほどの作品なのに。
タニノ:僕も去年の『野鴨』が、自分以外の劇作家の戯曲を読み・演出した初めての体験だったんですよ。何せ僕は演劇を勉強して来たわけではないもので。
勝村:でも、改めて観て面白いと思えた。人間が持っている傲慢な感情を、ストレートに出した会話で成り立っている戯曲じゃないですか。
タニノ:僕も去年、初めて読んだときから単純に面白いと思えたんです。描かれる人間関係やアイテムに、嫌らしさや自分のスケベさ、エッチな部分を触発するものがたくさんあり、そこがまず面白かった。イプセンは、僕には「演劇界で有名な人」ぐらいから始まっているので(笑)、高尚なものと思わず素直に読めたのが良かったのかも知れません。
勝村:確かにイプセンの戯曲は、人が普段隠しておきたいような、誰でも持っているけれども他人から見たら「そんなの、ただのワガママだよ」と言われそうなことが、前面に出されている。人間の愚かなところ、当事者にしか通用しないようなことが明確に表出される。それは、演じるときに非常に面白いことだと思います。
僕は常々「スーパーマンが世界で一番嫌いだ」と明言している人間ですが(笑)、「ダメじゃん、人間って。格好よくもなければ力があるわけでもない」という、一番下のところから出て来る言葉のほうが信じられるじゃないですか。必死に身につけた権威や勲章を剥ぎ取れば、誰もが自己愛の塊、みたいな。そういうことをイプセンの戯曲は、会話を通して明確に突きつけて来る。ただただ愉快ですよ、こういう本は。

そういう「むきだしの人間」を演じるための演技は、非常に難しいものに思えますが。

勝村:どんな役も、大変といえば大変だし、簡単と言えば簡単だと僕は思っているんです。人間はエゴイスティックな自分の本心を言い当てられると、「そうじゃないよ」って誰もが言い訳するじゃないですか。「お前のためを思ってのことだよ」と、延々取り繕う。それがイプセンの書く会話の基本かな。例え「いや貴方の真意はそうじゃないでしょう…」と正論を言われても、「貴方のためだ」と言い張る、そういうことのぶつかり合いが描かれているんだから、芝居として、何も「作る」ことを求められない芝居、という考え方はできるとは思います。

タニノさんは、ご自身の戯曲を演出する際と『野鴨』のときでは、俳優に求めることが違いましたか?

タニノ:出演する俳優も知らない方が多かったので、そこはおのずと変わっていたと思います。作品にも俳優に対しても、稽古通して少しずつ理解を深めていく感じでしたから。また、『野鴨』は登場人物が多く、人物の絡み合いが複雑だったんです。幾重にも張られた伏線が、最終的にはブーメランのように一直線に戻って来るような構造で、その劇構造をカンパニー全員で共有できるよう、討論を重ねたんですが、そういう作り方は初めてしました。

芝居の立ち上げ方は、前回から踏襲することもありそうですか?

タニノ:いえ、『ちっちゃなエイヨルフ』は少人数で、もっとストレートに色々なことが描かれている作品なので、討論などは飛び越えて作れそうです。より自由に、色々とできることが増えそうで、そこが楽しみな部分なんですが。

勝村さんは作家だけでなく、タニノさんのようなご自身より若い演出家との芝居作りの機会も、あまりないことでは?

勝村:…多分、初めてですね。鈴木裕美さんも同級生だし、他は蜷川幸雄さん、鴻上尚史さん、野田秀樹さんら皆さん年上ですから。でもそれは意識してのことではなく、僕は蜷川さんのところで芝居を初めているし、他の方々ともたまたまご縁があってのこと。あとは、若いころ人見知りが激しくて、知らない人のところに自分から出かけて行けなかっただけです(笑)。だから今回は良い機会だと思っています。作品が、元々僕がこだわってやって来た、「悲劇」でもありますし。

舞台でのこだわりは「悲劇」だったんですか。

勝村:ええ。鴻上さんの「第三舞台」でやった笑いのある芝居も、悲劇です。劇構造の異化作用として、笑いというカーブや、複雑な動き・早口というカーブをかけてあるだけですから。
それと、本当に長い間、大劇場への出演が続いていた。贅沢なことですが、少し小さめの劇場で芝居をしたいという想いがずっとありまして。元々蜷川さんの所でやっていたエチュードから立ちあげる芝居とか、小さくて実験的なスペースでやりたいな、と。プロデューサーの笹部さんにも久々に誘っていただけたので、ちょっと冒険しようと思えたんです。
タニノ: 演出家にとっても、本も俳優も新しい出会いは刺激的です。それだけではないけれど、知り合っていく楽しみは確かにありますし。
勝村:でも同時に厄介でしょ(笑)。演劇にもそれぞれ流派みたいなもの、「おふくろの作る味噌汁」みたいな違いがあって。そのうえ性格の良い人ばかりじゃないし(笑)。
タニノ:(笑)確かにそうですよねぇ。でも混色の面白さもありますし。最終的には、お客様が見て「面白い」と思えばいいわけだし、その方向性しか僕にはないですね。
勝村:タニノ流の調和術があるの?
タニノ:そんなに経験がないですから……まあ「楽しく」ぐらいですか。
勝村:そこが一番難しいでしょう!
タニノ:僕はすごく楽しくなるよう努力しますよ(笑)。

勝村さんが演出家に求めること、何かありますか?

勝村:別にないですね。音も照明も美術も全部そうですが、コミュニケーションだと思うんです。相手に何かを求めるのではなく、お互いに委ね、芝居の場で会話ができればいい。相手に何かを求めるなんてことは一種の依存だし、軍隊的だと思う。正解のない演劇に、最初から答えを要求するようなことは演劇とはかけはなれたことですよ。今回、僕らがどういう化学反応を起こすかは分からないけれど、それが良い状態で起こっても嫌な状態で起こっても、それぞれに楽しい。演劇ってそういうものじゃないでしょうか。

稽古開始前で恐縮ですが、現段階でこの『ちっちゃなエイヨルフ』をどう立ち上げていくか、イメージがあれば伺えるでしょうか?

タニノ:……最後の場面とか、まだ悩んでいるところがあって、構成までは考えられていないんですが…。僕はこの本に、すごく漠然と乱暴な言い方ではあるけれど、エロさを感じるんです。最初に作家に対して感じたことでもありますが、そこが魅力だし、普段から物事のエロな部分についてよく考えている人間なもので(笑)。そういう雰囲気を、上手く舞台上に出せればいいかな、と思うんですが、ちょっと乱暴過ぎでしょうか(笑)。

タニノさんの言う「エロさ」の構成要素はどういうものですか?

タニノ:顔とか体とかのビジュアルもそうですし、この作品だったらエイヨルフ、子供の存在もそこに含まれる。彼が持っている松葉杖などの道具も同じです。この前うちの劇団公演、『星影のJr.』で本物の子供が出ていたんですけど、彼を見ていても何かしらエロな気持ちになって(笑)。僕の場合、そういう官能が刺激されることが芝居を作る原動力になるし、自分の舞台にはいつでもそういうものを出したいと思うので。
勝村:一言で言うなら「変態的」となるんじゃない?(笑)。「変態」、いいじゃないですか! 色んなことができると思うし、この本にピッタリの表現かも。登場人物は皆、後ろめたさや陰の部分をたくさん背負っている。だから会話も小骨がのどに引っかかっているみたいに、素直にできない。そのいびつさが僕はとても好きだから。

勝村さんは、演じる元教師で物書きのアルフレッドに関してはどうお考えでしょうか。

勝村:具体的にはまだ考えていませんが、嫌な感じが常に出せたらいいかな、と。決して爽やかではない感じ。「イヤらしい」と演出家も繰り返し言いましたが、個人が抱えるイヤらしさってそれぞれに違いますよね? アルフレッドだけでなく、それぞれの人物にその「イヤらしさ」が出てくれば面白いと僕は思う。そこは、タニノさんの演出が何を引き出し、どう表現するかで変わってくる部分でしょうし。でも「飛びっきり」な感じがあるといいですよね、それぞれの中で。松葉杖で興奮するヘンタイ演出家とは初めての出会いですが、僕の中では素晴らしい感性だと思う(笑)。
先日タニノさんの芝居を拝見して思ったのは、人間の汚い部分をちゃんと描こうとしていて、とても面白かった。非常にまっとうな演劇だと思ったんです。この話もそうですが、きれいに収拾しようとするけれど、内には汚いエゴがいっぱいある物語ですよね。邪魔に思っていた子供がいざ死んでみると、両親は背負った十字架の重さに耐えられずどうしていいかわからない。結局、最初から最後まで人間なんてニッチもサッチも行かない、という話ですから。
タニノ:そう、その割りに登場人物たちの、子供の死という悲劇の後の会話も意外なほど自分勝手で、「子供が死んで話すようなことじゃないだろう!」って内容なんですよね。そういうところもいちいちエロい。どうしようもなく、生きている自分が大事というか、その生々しさと人間の深い部分を覗かせるようなエロさ、それを舞台で同時に見せられたらいいかな、と思っています。
勝村:うん。きっと観ている人が少しでもイヤな気持ちになったら、この舞台はある種成功なんじゃないかな。勝手を言わせてもらえば。演劇は問題を提起するもので、観たあと、いかに多くを考えてもらうかが勝負でしょ。この作品には、考え、自分と向き合うための要素が一杯に詰まっているから。

取材・文/尾上そら
撮影/市来朋久
メイク/新宮利彦(SURGE)
スタイリスト/池山尚樹

PROFILE/プロフィール

勝村政信
星座:かに座/血液型:A型/生年月日:1963年7月21日
出身地:埼玉県
俳優

タニノクロウ
星座:ふたご座/生年月日:1976年6月13日
出身地:富山県
庭劇団ペニノ主宰・劇作家・演出家

Question

Question

インタビューの最後に「あうるすぽっと」恒例の
『好きなもの+夢』アンケートをお伺いしました。

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ちっちゃなエイヨルフ

プロデュース公演

2009年2月4日(水)〜15(日)

『ちっちゃなエイヨルフ』

『厄介なお困りものは、ありませんか?
いたら取り除いてさしあげます。』
『そんなものは、この家にはない』
『本当に?』

○作:ヘンリック・イプセン
○演出:タニノクロウ
○出演:勝村政信、とよた真帆、野間口徹、馬渕英俚可、マメ山田、
星野亜門(Wキャスト)・田中冴樹( W キャスト)

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