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トピックス・インタビュー24

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INTERVIEW
「LAND→SCAPE/海を眺望→街を展望」藤田貴大さん
公演詳細はこちら トピックス一覧へ

2012年、26歳の若さで第56回岸田國士戯曲賞を受賞した藤田貴大。主宰する劇団マームとジプシーの公演チケットは瞬時に完売する人気を誇る。演劇界のみならず、各界のアーティストや編集者が熱い視線を送る類い希なる才能の持ち主だ。今回は北九州芸術劇場プロデュースの企画として、当地で創作した『LAND→SCAPE/海を眺望→街を展望』を2013年3月8日〜10日にあうるすぽっとで上演予定。北九州に長期滞在中、一時帰京していた彼に、北九州の「街」について話を伺いました。

2012.10.21 INTERVIEW

――北九州に長期滞在されての創作ですね。

藤田:9月にマームとジプシーの『ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。』を北九州芸術劇場で上演してから、そのまま一ヶ月半、マンスリーマンションに滞在してます。20歳の時に屋久島まで青春18きっぷで行った時に通過して以来の北九州。あの時は演劇に挫折して、東京から離れたくて。

――苦い思い出ですね。

藤田:だからオファーをいただいた時は乗り気じゃなかった。それまでは東京で新作を打ち続けることが前提だったし。

――実際に行ってみての感触は?

藤田:海の潮風でシャッターの錆びたような寂れた雰囲気が、僕の故郷に近い室蘭にちょっと似てたんです。青山真治監督の北九州サーガ3部作と呼ばれる映画がありますけど、あの色合いはまさにそう。霞がかったセピアやモノクロの世界が広がっている。

――原風景にトーンが似ていた?

藤田:だから「北九州の歴史」からアプローチするんじゃなくて、まず身を投じて漠然とした色合いや空気感に身を任せてみる。もちろんある程度は調べてますけど、文献を少しかじるくらいなら観光でもできるから。それはゼロ地点。そこから睡眠時間を削って夜中ずっと飲んで回るんです。ある意味、見聞録的な創作をしてますね。そこで聞いた、戦争で身体の右半分を失くした人の話とか。都市伝説がめっちゃエグいんですよ。道端でうずくまってる人も、よく見ると乳房がぶら下がってたりとかするし。売春とか今もある街だし、そういうダークサイドを無視して、この土地いいよ、とかってことは安易に言えない。やっぱりこの人たちが生きてるってことから目を背けちゃダメだなと思う。

――ほんとに今回は夜な夜な街に繰り出してるみたいですね。

藤田:角打ち(店内で立ち呑みができる酒屋)のおばちゃんなんかは「川筋気質」とかいう言葉を使うんです。筑豊にある遠賀川の川筋に住んでる男が荒々しいと。八幡製鉄所ができて、田舎から弾かれた荒くれ者たちが出稼ぎとして集まってきて100万都市になった。そういう土地だから。僕は基本、男子は嫌いなんですけど(笑)、今回はかなり屈強な男っぽい舞台になってます。

――やっぱり労働者の街だから?

藤田:小倉(北九州市の中心市街)は競艇・競馬・競輪の全部が揃っている唯一の街。ヤクザとか風俗とかもあんまり隠してなくて、喧嘩もおおっぴろげにやってるし、警官でも3人セットで歩かないと危ないらしい。こないだも商店街のカフェチェーンから、食べかけのクロワッサンとか入ったビニール袋を持ったヤクザ風のおっさんが出てきて、そこにわーって路上生活者たちが群がっていたのが衝撃的で。街に溶け込んでるんですよね、そういう風景が。東京だとまず排除して隠そうとするけど、北九州は嘘がない気がします。……でも一週間もいたら馴染んできて、スタッフさんも優しくてコーヒーとか出してくれるし、居心地いいと思っちゃうから、週末には東京に戻るようにして、強制的に自分を街から離してフィクションにしていく。

――コーヒーは東京のスタッフさんも出してくれると思いますよ(笑)。でもそこが珍しい気がしていて、ふつう、どこかに落ち着きたいという欲望の方が強いのでは?

藤田:僕はストレンジャー感が重要だと思うんですよ。結局一ヶ月半しか住めないし、知った気になって作品を作るのは一番いけないこと。だから『LAND→SCAPE』はよそ者がつくった作品でいいと思うし、ヘンに方言を使ったりして譲歩もしたくない。ズブズブ関わると一年どころじゃ着手できない話になってくるから、そこに僕は今は捧げられない。きっと放浪気質なんです。それにかなり作品主義だから、作品がまずちゃんと強烈じゃないと意味ないと思ってるし。

――近年のマームとジプシーでは、「歩く」ことが大きな要素としてありますね。

藤田:今回も、歩くことしか描いてないくらい歩いてます。だけど今までよりノイズがあって、目的地がひとつじゃないんですよ。海を目指すやつもいれば、皿倉山に向かってるやつがいるかもしれない。てんでバラバラに動いてる、その足跡によって地図ができあがっていくイメージなんです。今、ゼンリン(小倉に本社を置く全国的な地図会社)さんに、1950年くらいからの古い地図を集めてもらってるんですけど、とにかく頭おかしいくらい北九州にはこだわってて。こないだは船を一艘、海から引き上げたんですよ。

――え、サルベージ……?

藤田:そう。僕は朝の習慣でゴミを拾うことをしてるんです。街づくりのためじゃないですよ。舞台美術のために、壊れたスクーターのマフラーとか探して、盗賊みたいに公共ホールに戻ってく(笑)。3メートルもある流木を担いでたりとか……。3月にはあうるすぽっとでも上演しますけど、単に旅公演が巡回してるとかじゃなくて、もうとにかく意味が分からないやつらがヘンなもの担いで東京に闊歩してやってきた、みたいな感覚が今欲しいなと思ってます。討ち入りです、東京に。

――北九州でオーディションで採用した役者さんたちは?

藤田:東京だと、百戦錬磨みたいに場数踏んで、いろんな演出家の言葉にも対応できる役者さんがやっぱりたくさんいますよね。でも北九州の役者さんたちは、不器用だけど、いい時はいいんだよね。愚直にやるからこそ出せることもある、という、たぶんそこで戦ったほうがいいと思う。ただただ喧嘩してやるみたいな感覚を稽古場で久々に味わってます。

――実際にあちらに行く前は、向こうの役者さんとやることにはちょっと抵抗感もあったのかなと思いますけど。

藤田:抵抗は今もあるし、ほんと甘いよ!、と思うこともあります。東京から連れていった3人の俳優(尾野島慎太朗、成田亜佑美、吉田聡子)がこの数年で成長してるのも分かったから、その3人と比べた時にどうしても落ち度が見えてしまう。でもそれをマームとジプシーの水準に引っ張りあげるとかいうことじゃなくて、どう変容させていくかで、北九州ならではの作品になっていけばいい。だから「東京の役者さんでやったらもっと面白いね」みたいにもしも言われたら意味ないと思ってる。

――どういう演技の質の人たちが集まったんですか?

藤田:小さい劇団で一生懸命やってる子たちの演技がいちばん最悪ですね。雰囲気芝居というか。青年団を一回観ました、的な。ちょっと私会話できます、みたいな態度がもう、いけ好かんな! そういう子にかぎって、走らせたらすぐ過呼吸になってびっくりして泣くんですよ。例えばチェルフィッチュも観てないから、「モノローグやって」って言っても、正面切ってナレーションを言い出したりとか……。ゼロ年代の後期辺りからの流れを知らない。

――そこの開きはあると。

藤田:とはいえ、例えば青山真治監督の映画、めっちゃ好きなんですけど、喋り方とかなんかヘンじゃないですか。上手な俳優さんも青山監督の映画に出たらみんな愚直になる、みたいな(笑)。そういうめくり上がらせ方があるんですよね。ちょうど、ぽろぽろっと静かに話すのが面白いね、みたいな文脈が出来た頃に『サッド ヴァケイション』を観て、これはゴリゴリしてるなと。なんでそうなる?、みたいな演技でしょ(笑)。音量の調節も謎だし。きっと北九州って、そういうことじゃないと通用しない街なんだと思う。おでん屋さんとか行っても、男たちがバカみたいなデカい音量で話してるから。そういう意味では、現代口語演劇みたいに会話で綺麗に組み上げていく手法が有効なのかは全然分からないから、今回そういうものは作ろうとはしてないです。

――現代口語演劇はひとつのシチュエーションに依拠することで発展してきた様式だと思いますけど、青山真治監督の映画は基本、ロードムービーですよね。

藤田:車輪を使うよね、青山監督は。ここ二年くらいでマームも「歩く」ようになったんだけど、昔はもっと僕が住んでる6畳半の世界を信じてた部分あった。たとえばこの部屋に女が来て、とか。家にいる時間も長かったし、近くに銭湯があって、身近でできる生活を望んでたんですよね。だけど横浜の急な坂スタジオで稽古をするようになって、創作するにも移動しなくちゃいけなくなった。そういうところからマームの「歩く」ことが始まったのかなと思います。

――キャストの年齢層の幅広さも、これまでにない試みですね。

藤田:21歳から64歳まで世代的には満遍なくいます。四十年間主婦してた人は、旦那さんとラブラブ。毎日「今日もあなたのおかげで稽古に行けます」っていう置き手紙をして稽古場に来てるみたい(笑)。

――最近の藤田作品は群像劇めいたポリフォニック(多声的)な様相を呈しているように感じます。

藤田:その流れはあります。最近ロバート・アルトマン監督の『ナッシュビル』をよく観返してて、『ワタシんち〜』の時はあの映画を流しっぱなしで台本書いてました。人と人が別に繋がらなくてもいいし、通り過ぎるだけでもドラマになると思えば、キャストの数が多くてもストレスになることはない。このシリーズ(北九州芸術劇場プロデュース)では過去に松井周さんの『ハコブネ』に19人出たらしいんで、それは1人超えておこうかなと(笑)。

――20人で最多記録を樹立!

藤田:「最年少」ばっか言われるから、「最多」があってもいいかな(笑)。僕の作品としても最多の出演者数です。

――あうるすぽっとではどんな作品になる?

藤田:楽しみですね。囲み舞台になると思うので、もういっそリングでファイトみたいな。

――今回はかつてなくボキャブラリーまで体育会系な気がしますね(笑)。

藤田:や、ガチンコ過ぎてヤバいから。ほんと3月、待ってろよ!、っていうね。ヘンな野武士みたいなやつらがいっぱい来るから。

取材・文/藤原ちから
撮影/市来朋久
インタビュー:2012年10月21日

PROFILE プロフィール

藤田貴大
生年月日:1985年4月27日
出身地:北海道

INFORMATION

タイアップ公演
2012/2013あうるすぽっとタイアップ公演シリーズ
北九州芸術劇場プロデュース
『LAND→SCAPE/海を眺望→街を展望』

2013年3月8日(金曜)〜10日(日曜)

「マームとジプシー」主宰の藤田貴大。北九州を舞台にした、新作書き下ろしを上演!

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