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トピックス・インタビュー25

25
INTERVIEW
「絵本太功記 − 尼ヶ崎の段」竹本相子大夫さん×鶴澤清馗さん×桜井秀俊さん(真心ブラザーズ)
公演詳細はこちら トピックス一覧へ

2013.4.8 INTERVIEW

――桜井さんが文楽に興味を持ったきっかけを教えてください。

桜井:7〜8年前に、いとうせいこうさんに「義太夫節はブルースだから聴いてみろ」と勧められて、『仮名手本忠臣蔵』のCDをお借りしたのがきっかけです。三味線というとお座敷芸の「チントン〜♪」ついう軽快な物をイメージしていたんですけど、聞いてみると低音の震えるような「デイン!」っていう音に、一瞬で「ああブルースだ」と感じてしまいました。僕らの言葉では「音を歪ませる」と言うのですが、アンプの容量を超えた大きさでブワッっとお腹にくるような音ですよね。さらに太夫さんの低い声が重なって、もうたまらなかったですね。ちょうど環七で世田谷のあたりで渋滞にハマっていたんですけど、「イエーイ!」って車の中で大きな声を上げたのを覚えています。それから、劇場に見に行く時は「義太夫ワクチンを注入しに行く」と言って、定期的に聞きに行っています。

――音楽としてインスピレーションを受けるところがあるのでしょうか。

桜井:インスピレーションというよりも、自分が生まれる前の足下を確認させてもらうという感覚ですね。僕はたまたま中学、高校の時にロックンロールやブルースにグッときたわけですけど、似たような琴線を昔の人も当然持っていたわけで、そこに応える音楽や芸能があったはずです。義太夫もその一つだったと思うんですよ。だから、義太夫節を取り入れたロックをやるとか、そういうことは全然考えてなくて、琴線の問題なんです。それから、やっぱり音の低さの大胆さはブルースよりすごいですよね。ヨーロッパのクラシック音楽にはない特徴で、身体が引っ張られるような感じというか、すごく面白いと思います。

清馗:三味線を聴く上のポイントとしては、「音と音の間」とよく言います。音と音の間にどんな詰め込みがあるかというのを聞いてもらえると、余計に浄瑠璃の世界入っていけると思います。こっちは死ぬ気で弾いてますから。

桜井:ポロッとすごいこと言いますね(笑)。

清馗:バンバン派手に弾く方が楽なんですよ。弾きたいところを抑えて、はらわたがググッてひっくり返りそうになるぐらい我慢するんです。

桜井:実は僕も清馗さんにご相談して三味線をかじったことがあるんですけど、僕の人生の中の幾つか挫折の一つで、ちょっと思うような音を出すのは難しいというか、時間かかるなと思いました。まず弾く以前に正座して座れなかったですし(笑)。

清馗:でも耳がいいですし、だいたいの音は聞いて弾けてしまうのはさすがだと思いました。

桜井:そこで頑張ったことで大きなものをもらって、自分のギタースタイルもそれから変わりました。いっぱい手を弾くんじゃなくて、1音1音、むしろ音が減衰する様が重要だと。そう考えてギターを弾いてる人はいないので、他にないスタイルを授かって感謝しています。

――相子太夫さんは文楽に出会ったのは大学の時ということですが。

相子太夫:関わり合いを持ったのはそうですね。大学の時の先生が、うちの最初の師匠と友だちで、文楽に売られてしまったんです(笑)。でも研究生の頃は頭もアフロみたいでヒゲ生やして、今そんなの見つけたらしばき倒したい感じですけどね(笑)。まあ、何でも機会があったらやってみようと受け身な感じで入ったのが、おもしろくなって抜けられへんようになったんです。

――一方の清馗さんは、幼い頃から文楽に近い環境で育ちました。

清馗:でも僕もはじめはちょっと受け身な感じでしたよ。

相子太夫:結構ね、何か知らんけど入ってきてる人が多いんですよ。「入りたい!」って来た人の方が辞めてしまったりするから、何が向いてるのか分からない。

清馗:一座に合ってるかどうかだけですね。才能があっても人付き合いがダメだったら辞めていく人もいますし。

相子太夫:「座」ですから、ほんま個人じゃ何もできない職業なので、そこは難しいところなんです。

桜井:その距離感が独特ですよね。舞台でも、三味線と太夫と人形の三者のなれ合いでもないバチバチの緊張感が、見ていて楽しいです。

――桜井さんは三味線の音から入ったということですが、人形についてはどうでしょうか。

桜井:舞台を初めて見たのは『曾根崎心中』です。人形の使い手がお年を召した方なのに、若い徳兵衛やお初の仕草が色っぽくてびっくりしました。生の人間じゃなくて人形でやるからこそ想像させるところがありますよね。それは漫画とかアニメーションの発想に近いというか、SFだってできるんじゃないかと思います。

相子太夫:ほんまそうです。江戸時代に、今で言ったら特撮とかアニメが好きな町人が見たんやろなと思います。「通し狂言ガンダム」でも「スターウォーズ」でも何でもできますから(笑)。僕はこれからきっと人形浄瑠璃のブームがくると思ってるんですよ。義太夫も人形も、できないことがないんです。古典だけでなくて、新しい書き手の人にどんどん参加して欲しいです。

清馗:これまでにいろんな方が言ってますけど、「嘘を実しやかにする」というところは文楽の強みですよね。思いっきり大げさだったり嘘をついてるのに、「これほんまにあったんや」と思わされますからね。

相子太夫:ある程度曲の「型」みたいなものがあるのが強いところなんです。こう弾いてこのように語ったら、めちゃくちゃ突飛なことを言ってても、そういう(本当の)ことになってしまう。

桜井:何を言うかよりどう言うかというところはポップミュージックでもありますね。ラブソングだってメロディに乗せて歌うからこそグッとくるんであって。普通あんな恥ずかしいこと言えないでしょう。それから、物語としてもエンターテインメントの源流みたいなところがあると思います。去年、橋本治さんの『浄瑠璃を読もう』(新潮社)という本を読んで、改めてテキストにも注目するようになったんですけど、内容的には今の週刊誌に載ってるようなゴシップ話もたくさんあるし。

清馗:ゴシップだらけですね。演目によっては放送禁止用語も連発ですから。最近は言い換えられたりもしますけど、時代背景があって当時の普通の言葉を使っているので、僕は必要ではあると思いますけどね。

桜井:文楽はそういうストリートの感覚というか、庶民に支えられてきたところがいいですよね。金持ちやパトロンがいてどうしたとかではない。個人的には、見る側としてだけじゃなく、お客さんを楽しませたりワクワクさせて何とかお金を出させてやろうという、やる側の感覚もすごい共感できます。

――では、今回のワークショップの演目について聞かせてください。

相子太夫:取り上げるのは『絵本太功記』の十段目(尼ヶ崎の段)です。いわゆる明智光秀の三日天下を題材にしたもので、とてもようできた時代物だと思います。いろんなキャラクターが出てきて、いろんな死に様があって、しかも主人公の光秀がかっこいい。

桜井:秀吉じゃなくて光秀をかっこよくしてるんですよね。

相子太夫:秀吉は完全に脇役で、裏切り者を主人公に据えている。そこが文楽のひねくれたところなんです。

清馗:しかも秀吉が城を構えていた大阪でやってるっていうね。

相子太夫:あと、男子が好きそうな話だと思います。

桜井:いろんな人に反対意見を言われながらも、最後は自分を信じる!みたいな(笑)。

相子太夫:そうそう。

――弾きどころ、語りどころはどんなところですか?

清馗:さっきも言った「音と音の間」ですかね。特に、最初の前半部分を聴いてもらいたいです。

相子太夫:そう、僕も前半なんですよ。後半の派手なところは頑張って若さを押し出していけばいいんですけど、前半が大変やと思ってます。

清馗:だからマクラが勝負ですね。稽古つけてもらう時にも、マクラだけで終わったという話も聞きます。1日目マクラですごい怒られて、2日目もずっとマクラで、3日目に「お前もうこんだけできたら、後はできるわ」って言われて終わったっていう(笑)。

桜井:かっこいい! 僕もちょっと違いますけど、人の曲をアレンジするときに、イントロができたら後はできたようなものというのはありますね。最初の歌が出てくる下地の最高のイントロができたら、もう自分の曲になるというか。イントロ作るまでが大変なんです。

――最後に、文楽の面白さを一言で言うとすれば。

清馗:江戸時代のゴシップを現代に伝える、ですかね(笑)。

相子太夫:ほんま、こんなおもろいものはないと思うんです。どんな題材でも作品にできるから、僕らもどんどん新しいものを生み出していきたいです。

桜井:なかなか世の中に一生楽しめる娯楽ってないと思うんですけど、文楽は知ってると一生楽しいということは断言できると思います。僕も見つけたとき、やったー!って思いましたからね。ぜひもっと多くの人に発見して欲しいと思います。

取材・文 小林英治/写真 市来朋久
協力 国立劇場

PROFILE プロフィール

竹本相子大夫
生年月日:1974年6月22日
出身地:大阪府

鶴澤清馗
生年月日:1980年11月29日


桜井秀俊(真心ブラザーズ)
生年月日:1968年6月6日
出身地:広島県

INFORMATION

プロデュース公演
あうるすぽっと伝統芸能講座
第四回 文楽・素浄瑠璃ワークショップ
『絵本太功記 − 尼ヶ崎の段』

5月28日(火曜)19:00

奥深い日本の文化が息づく伝統芸能『文楽』。なかでも音楽的要素である素浄瑠璃に着目し、次世代を担う文楽座の若手技芸員が知られざる文楽の世界をご案内します。

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