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トピックス・インタビュー43

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INTERVIEW
『あうるすぽっと10周年記念対談』近藤良平さん×九世野村万蔵さん
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2007年9月の開館から、多彩なアーティストと多くのお客様に支えられ、あうるすぽっとは10周年を迎えることになりました。記念の対談には、あうるすぽっとを始めとした、豊島区の様々な文化事業に携わり、盛り上げ続けて下さっている狂言師・九世野村万蔵さんと、振付家・ダンサーの近藤良平さんにご登場いただきました。お二人の初顔合わせは開館2年目、2009年に当劇場で行われた『三番叟 SANBASO―伝統と現在―』で実現。ともに豊島区民でもあるお二人の目で見た、あうるすぽっとと作品のこれまでとこれから、さらなる未来のための課題など貴重なお話を伺いました。

2013.5 INTERVIEW

――開場10周年を前に、今日は劇場にも豊島区にもご縁の深いお二人をお迎えできて嬉しいです。

万蔵:10周年おめでとうございます!

近藤:(笑)まだ早いですよ。でも、そんなに時間が経っていたとは信じられない気持ちです。

――近藤さんとコンドルズのメンバーの方々にはオープン時から、いまや豊島の夏の風物詩となっている『にゅ〜盆踊り』を立ち上げていただきましたし、翌年にはお二人で、狂言の代表的演目『三番叟』を古典に則って舞う万蔵さんの「狂言三番叟」と、コンテンポラリーダンスとして新たな解釈を加えた近藤さんが踊る「コンテンポラリー三番叟」の競演という、贅沢な企画も実現しました。

近藤:あれは、非常に貴重な体験でした。古典の知識がないなか、受験勉強のように『三番叟』に関する知識を一気に自分の中に詰め込むところから始めて。まずは映像を見てお囃子を覚え、「舞い踊るうちに舞手がどんどん高揚していくものなんだ」と自分なりに感じたりしながら。(当時の公演チラシを見て)なのに、大胆にも「コンテンポラリー三番叟」なんてタイトルにしてる! よく、こんな言葉を背負いましたね、我ながら(笑)。

万蔵:あの時は古典の、正統な『三番叟』を舞うことが僕の役割だったけれど、近藤さんはワケのわからない世界に飛び込んで来たんですよね。僕もちょうど今、EXILEのリーダー・ヒロさんがプロデュースするサムライズのメンバーと共に、最先端の映像や光とコラボレーションする作品※のリハーサル中なんですが、これも『三番叟』がモチーフ。面白いけれど不慣れなことも多くて。当時の近藤さんも、こんな感じだったのかな、と(笑)。でも、8年前のようなチャレンジをきっかけに僕も成長できたし、同様のコラボレーション企画も次第に増え、ジャンルを超えた作品が生まれ、日本のカルチャー・シーンも進化しているような気がするんです。そう考えると、あうるすぽっとで二つの『三番叟』が上演されたことは、その草分けと言ってもいいかも知れませんよ。

 

――そもそも歌舞伎にも『三番叟』から派生した演目が幾つかありますし、万蔵さんの仰るとおり、最先端の映像技術とのコラボレーションなどでも『三番叟』を用いたものが見られます。

万蔵:『三番叟』だけでなく、狂言というジャンル、その作品や表現に興味をもってくださる他ジャンルのアーティストが、少しずつ増えているように感じます。まだ歌舞伎ほどの認知はありませんが、長く続く古典の、秘めた力を持つ芸能と思っていただけるなら嬉しいですよね。『三番叟』はいわば、“日本のダンスの原点”だと僕は思っているんです。舞うほどに躍動を増し、神がかりになり、大きなエネルギーを放出しながら全てを昇華するものですから。

近藤:確かに外国で育ち、古典の素養の全くない僕でも『三番叟』のお囃子、そのリズムやメロディを聴いていると、何か身体の中で湧き立って来るものを感じました。国や文化、時代を超えたダンスのルーツが『三番叟』には含まれているのかも知れませんね。最近、各地の民謡や郷土芸能、踊りなどをリサーチする機会も増えていて、四国や九州などで目にする踊りは、どこか原初的なものを内包していて、古典の舞にも通じるなと感じることが多い。また、それを踊る地元のおじいちゃん・おばあちゃんがカッコいいんですよ! 足の痛みで正座もできないような人が、スッと立ち上がってそのまま自然に踊りに入っていくんですから。

――お二人がそんなふうに創作について、深く考える場になれたことは、劇場にとってもとても光栄です。あうるすぽっとに加え、豊島区ではさらに新たな劇場を含む複合文化施設も建設中ですが、近年の、周囲の文化状況の変化などはどのように感じていらっしゃいますか?

近藤:(万蔵に)どこから話せばいいんですかね?

万蔵:豊島区全体だと広過ぎるから、池袋周辺ということでいいんじゃないかな。あうるすぽっとや東京芸術劇場、そして池袋駅近くにできる新劇場まで、確かに劇場などの文化施設は充実し、それに伴った企画や事業も展開していますよね。僕も昨年から、兄の八世万蔵が復活させた、平安から室町時代に大流行したとされる芸能「田楽」を、区民の方々の参加も募って池袋の街を練り歩く『大田楽 いけぶくろ絵巻』としてさせていただいていますし。少しずつですが、文化の力で池袋の街に人の足を止め、集めることができるようになっているんじゃないでしょうか。“暗い・危ない”という従来の池袋のイメージも、随分変わったでしょう?


大田楽 いけぶくろ絵巻 (撮影:赤坂久美)

近藤:同感です。住民から見てもヒドいなと思う時期はありましたから(笑)。豊島区は文化芸術に対する政策を進めていくことに熱くなってくれる区なので、信頼できますよね。

万蔵:この流れを止めないためにも、新劇場の使い勝手がよいといいなと、個人的には思ってます。

近藤:そう、折角の新劇場だから、自由に面白い使い方をさせて欲しいです。オープンはもちろん待ち遠しいけれど、スタート時からあまり窮屈な決まりで縛らないで欲しい。学校の休日利用など、場所の少ない都心にも文化や創作のための「場」はなくはない。でも大抵、約束事やルールが多くて、僕らつくり手には使いづらいことも多いんです。

万蔵:何かにつけ事件の多い昨今。公的機関は安全管理にやっきにならざるを得ないけれど、僕ら表現する側の声にも、耳は傾けて欲しいですね。

――その意味では『にゅ〜盆踊り』も『大田楽』も、厳しい都市環境の間隙を縫うように、地域住民と文化芸術を繋ぐ場になっていますね。

近藤:いろんなことをやっては、怒られたりもしてますけど(笑)。

万蔵:安全管理はもちろん重要ですが、過度に“ダメダメダメ”と言われる環境で、新たな創造なんかできません。僕ら古典芸能だって、安定した人気演目だけやっていても衰退するばかり。時には既存の概念を壊すようなチャレンジをしなければ、狂言を更新し、さらに何百年も続けていくことはできません。批判と闘いながらね。

近藤:そう、可能性があるからこそ、世間的な常識に縛られない、豊島区ならではの闘い方をして欲しいと強く思います。豊島区は、それができる地域のはずなんですから。

万蔵:そのために、最近流行の「○○ファースト」ではないけれど(笑)、多くの人が関わる事業の際に、何を優先するのかきちんと考えていかないと、文化の発展は難しいと思います。是非「文化ファースト」でお願いしたいな!
 そう、『にゅ〜盆踊り』と『大田楽』とのコラボレーションもできますよね?

近藤:おぉ、それは面白そうですよね。

万蔵:別々の会場で始めておいて、ある時間になると大田楽の一行が練り上がって盆踊り会場に乗り込み、中央でパフォーマンスをするとか。

――『にゅ〜盆踊り』の参加者はレギュラー化しており、指導側に回る方も多くいらっしゃる熱の高い現場ですから、盛り上がるでしょうね。

近藤:そうそう、最近はみんな自主的に動いてくれるんです。うちでも熱心な参加者から、次の『大田楽』の市民参加枠に応募した、という声も聞こえています。

万蔵:それは有難いですね。


にゅ〜盆踊り (撮影:涌井直志)

近藤:『にゅ〜盆踊り』も、オリジナルの踊りや既存の盆踊りを踊るだけでなく、最近は年ごとに切り口を加えているんです。ここ数年は海外観光客の参加者も多いので、今年は韓国や中国の踊りや体操などをみんなでやるコーナーを設けたんです。去年は去年で熊本大震災があったので、エールを送る意味で熊本の踊りを取り入れましたし。

万蔵:それはいい! そういう流れがあるなら、『大田楽』もハマりますね。

近藤:今年は終わっちゃいましたけど。

万蔵:残念! でも来年は絶対乱入させていただきます。道場破りですね(笑)
町内ごとに神輿をぶつけ合うような喧嘩祭りがあるじゃないですか。

近藤:大歓迎です!! みんな大喜びしますよ。

万蔵:『大田楽』には、アニメーションのキャラクターのコスプレをする参加者もいるんですよ。

近藤:面白いなぁ。豊島区は、そういうサブ・カルチャーがアツい地域でもありますしね。

万蔵:兄の八世万蔵が復活させた『大田楽』は赤坂の日枝神社で始まった、神事としての側面が強いものでしたが、僕は、参加する方々がプロ・アマに関係なく楽しめるものであって欲しいと思うんです。だから間口は広く、入口のドアも多種多様に用意して、でも芯となるもの、精神性はしっかりと持って臨みたいと考えています。

――踊りや舞いは、プロフェッショナルのスキルや表現力の素晴らしさとは別に、広く一般の方が参加できることが魅力ですね。

近藤:確かに。そうかぁ、アニメ好きやコスプレイヤーとのコラボもアリですね。すごくエネルギッシュに趣味に邁進する層の方たちでしょうから。あと大学も多いでしょう? 僕らダンスの分野からのワークショップやアウトリーチなども珍しくはなくなりつつあるけれど、教育機関との横の連携は、もっと機会が増えてもいいはずだと思うんです。

万蔵:僕は上野の東京芸術大学で狂言を教えているけれど、上野の森恩賜公園ではよく学生の作品を展示発表していたりするんですよ。きっと大学との間に色々な取り決めがあるんでしょうけれど、ああいう連携はいいなと思いますね。学内だけでなく、文化の匂いが広まっていくのは素敵でしょう?

近藤:いいなぁ、それ。

万蔵:そうして、主婦の方やお勤めの方、学生さんたちにも通りすがりに文化に触れ、それぞれの日常に持ち帰ってもらうことも大事だと思うんです。それをきっかけに、文化や芸術に目を向けてもらえる可能性もきっと増える。裾野を広げる努力は続けていかないと。

――劇場に来るためには観客側に心の準備が必要ですが、文化や芸術が外に出かけて行くことで、触れあえる方を飛躍的に増やせる。画期的な発想ですね。

万蔵:それに、小学校の授業では国語の教科書に狂言の作品、せりふが掲載されたりしているけれど、狂言は本来、音楽や体育まで含む横断的な表現。少し体験していただけば、誰もが開放され、大きな発散を体感できるとわかっていただけるはず。『大田楽』もそうですが、僕らが持っている表現のスキルや伝統を、一般の方々にこそ利用して欲しいんです。劇場など、文化施設にはそのパートナーになってもらいたいと思っています。

近藤:いやぁ、僕も同じようなことをずっと考えているんです。コンテンポラリー・ダンスに長い歴史はないけれど、逆に多様な手法や自由な表現がたくさんある。子どもや障がいのある方など、それぞれの個性に合った手法でコミュニケーションを取り、一緒に創造の時間を過ごすことが僕は何より嬉しいんです。劇場、ひいては豊島区にも、その時間の伴走者でいて欲しいですよね。すっごく前向きな結論になって良かったぁ(笑)。

万蔵:秋の『大田楽』にも是非お越しくださいね。

近藤:もちろんです!

取材・文:尾上そら 写真:大塚桂輔

(※)「和泉流狂言師 野村万蔵×SAMURIZE from EXILE TRIBEコラボステージ in TOKYO ART CITY by NAKED」(8/15・16)

 
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